「健康診断でBMIが高いと言われた」「血圧や血糖値もあわせて指摘された」「体重が気になるけれど、病院で相談していい話なのか分からない」——肥満症は、体重が多いこと自体ではなく、その体重が病気につながっている状態に付く病名です。
医療のなかでは「肥満」と「肥満症」を分けて考えます。このページでは、その線引きと診断の基準、受診したあとの進み方をご説明します。
ケルソンファミリークリニックは、心療内科と内科を併設した家族向けクリニック。大泉学園駅より西武バスにて「大泉郵便局」下車、徒歩1分です。土日祝日も診療し、オンライン診療にも対応しています。「病院に行くのは少し怖い」——その最初の一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか。
なお、当院では内科でご相談をお受けし、血液検査で併存する病気を確かめてから方針を決めています。専門的な治療が必要な場合は、連携する医療機関へご紹介します。
生活習慣病について

生活習慣病とは、食事・運動・飲酒・喫煙・ストレスといった日々の生活習慣が発症や進行に関わる病気の総称です。代表的なものに、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満症などがあります。
このなかで肥満症は、ほかの生活習慣病と重なりやすい病気です。脂肪の過剰な蓄積は、糖尿病・高血圧・脂質異常症のいずれにも関わります。
内臓脂肪の蓄積に高血圧・高血糖・脂質異常が重なった状態は「メタボリックシンドローム」と呼ばれ、心筋梗塞・脳梗塞のリスクを押し上げます。大切なのは、症状が出てから動くのではなく、健診の結果で指摘された段階から対応を始めることです。
肥満症とは?
肥満は、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMI(体重kg÷身長m÷身長m)が25以上のものを指します。肥満症は、その肥満に、肥満が原因となる、あるいは関連する健康障害が1つ以上あるか、内臓脂肪の蓄積が認められ、医学的に減量が必要と判断される状態です。肥満そのものは病名ではありません。
この区別は、日本肥満学会『肥満症診療ガイドライン2022』に示されたもの。日本ではBMI25以上を肥満の判定基準としています(世界保健機関の基準では30以上)。
このページでご説明するのは、医学的に減量が必要と判断される肥満症です。体重や体型のご相談も伺いますが、治療の対象になるかは診察と検査をしてから決まります。
同ガイドラインが診断に用いる健康障害は、次の11項目です。
- 耐糖能障害(2型糖尿病など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞・一過性脳虚血発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常・女性不妊
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性関節症・変形性脊椎症)
- 肥満関連腎臓病

肥満症と診断されるのはどんな場合か
診断には2つの道すじがあります。1つは上の健康障害のいずれかを合併している場合、もう1つは健康障害が今はなくても内臓脂肪型肥満と診断される場合です。
内臓脂肪型肥満は、腹囲(ウエスト周囲長)が男性85cm以上・女性90cm以上だと内臓脂肪の蓄積を疑います。確定するのは、腹部CTで測った内臓脂肪面積100cm²以上のときです。
BMI35以上は「高度肥満」と呼ばれます。ここに健康障害または内臓脂肪の蓄積が重なると「高度肥満症」になり、減量の目標も別に立てます。
一方で、BMIが25以上でも、健康障害も内臓脂肪の蓄積もなければ、肥満症とは診断されません。 この場合は「肥満」であって、健康障害が現れないかを見ていく段階です。
当院では初診時に身長・体重・BMI・腹囲・血圧を測り、血液検査(血糖・HbA1c・脂質・肝機能・尿酸・腎機能)で併存する病気を確認します。必要に応じて胸腹部レントゲン、心電図を実施します。窓口は内科で、食行動の悩みが中心のときは心療内科でも相談できます。
受診前に用意しておくとよいものは、肥満症の治療で保険適用となる範囲にまとめています。
肥満症の特徴と症状について

肥満症は、体重の数字よりも重なってくる健康障害のほうが先に見つかることが多い病気です。
気づきのサインとなる症状
身体に出やすいサイン
- 階段や坂道で息が切れる
- いびきが大きい・日中に強い眠気がある
- 膝・腰・股関節が痛む
- 生理の周期が乱れてきた
- 健診で血糖・脂質・血圧・肝機能のいずれかを指摘された
- 思い当たる理由がないまま、短い期間に体重が増えた
放置した場合の合併症
- 動脈硬化が進み、心筋梗塞・脳梗塞のリスクが上がる
- 脂肪肝から肝臓の線維化へ進むことがある
- 閉塞性睡眠時無呼吸で睡眠の質が落ち、血圧が上がる
- 変形性の関節疾患(膝・股関節・脊椎)で動ける範囲が狭くなる
- 肥満関連腎臓病で腎臓の機能が落ちる
一緒に見つかることの多い生活習慣病は、糖尿病・高血圧・脂質異常症の各ページでご説明しています。
こんな方は早めの受診を
- 健診でBMI25以上と、血糖・脂質・血圧のいずれかを同時に指摘された
- 膝や腰の痛みで動きにくくなっている
- 自分で食事を見直してみたが、変わらないまま時間が過ぎている
当院は土日祝日も診療しており、予約なしでもご受診いただけます(予約優先)。
肥満症の改善方法と治療について
肥満症の治療では、減量は目的ではなく手段です。目指すのは、肥満に起因・関連する健康障害を防ぎ、改善することです。
同ガイドラインが示す減量の目標は、肥満症(BMI25以上35未満)で3〜6か月に現在の体重の3%、高度肥満症(BMI35以上)で5〜10%。実際の目標は、年齢・併存する病気・生活の状況をみて診察で決めます。
薬による治療の可否は診察のうえで判断します。
1. 食事療法
食事は治療の土台です。同ガイドラインは、肥満症(BMI25以上35未満)で1日の摂取エネルギーを目標体重1kgあたり25kcal以下に設定することを示しています。目標体重は身長から計算するので、目安は診察でお伝えします。
- 栄養の配分:炭水化物50〜65%・たんぱく質13〜20%・脂質20〜30%が目安
- 糖質を極端に抜く方法:短期の減量効果は報告されていますが、長期の有効性を示す根拠はありません
- 食事を抜かない:朝食や昼食を抜くと、夜のまとめ食いにつながります
具体的な食事の組み立ては、診察のなかで一緒に決めていきます。
2. 運動療法
運動は食事と並ぶ治療の柱で、血圧・血清脂質・血糖の改善が報告されています。
- 有酸素運動:ウォーキング・自転車・水泳など。1日30分以上、または週150分以上
- 筋力トレーニング:併用が望ましく、軽い負荷から
- 座る時間を減らす:細切れでも、今より1日10分(約1,000歩)多く歩く
- 膝や腰の痛み、心臓や呼吸の病気があるときは、医師と相談してから始めましょう
3. 併存疾患の治療
体重と同時に、併存している病気を診ていきます。
- 血糖・HbA1c・血圧が高い → 糖尿病・高血圧の評価と治療
- コレステロール・中性脂肪の異常 → 脂質異常症の評価と治療
- 肝機能や尿酸値の異常 → 脂肪肝・高尿酸血症の評価と治療
- いびき・日中の強い眠気 → 睡眠時無呼吸の検査を検討
4. 体重と検査値の記録
記録をつけると、何が体重を動かしているのかが見えてきます。同ガイドラインでも、記録をもとに生活を整える行動療法が、減量と維持に効果があると示されています。
- 体重:同じ時間・同じ条件で測り、グラフにする
- 食事:時間帯・間食・飲酒を書き留める。「夜に食べすぎた日」が分かる程度で十分です
5. 生活全般でのセルフケア
- 睡眠:睡眠不足は食欲の調節に影響します。いびきや強い眠気があるときは、睡眠時無呼吸の検査を検討します
- 禁煙:喫煙は動脈硬化を加速させます
- 節酒:飲む量と頻度を、あらかじめ決めておきます
- 食行動:気分の落ち込みや強い不安が続くと、食欲の調節が乱れることがあります。食べ始めると止まらない状態が続いているときは、過食がやめられないときの相談先もあわせてご覧ください
肥満症は、体重の数字を責められる病気ではありません。背景を確かめ、併存する病気から順に手当てしていくことが、将来の合併症のリスクを下げることにつながります。健診で指摘された方は、まずはお気軽にケルソンファミリークリニックまでご相談ください。大泉学園駅より西武バスにて「大泉郵便局」下車、徒歩1分。オンライン診療にも対応しています。