DYSLIPIDEMIA

脂質異常症(高脂血症)

2026.05.07

「健康診断でコレステロールが高いと言われた」「中性脂肪の数値が気になる」「家族に脳梗塞や心筋梗塞の人がいる」——脂質異常症は、自覚症状がないまま動脈硬化を進めてしまう病気です。

放置すれば心筋梗塞・脳梗塞の大きな原因になりますが、食事・運動・必要に応じた薬物療法で十分に管理できる病気でもあります。早めに気づき、適切な対策を始めることが、長く健康に過ごすための近道です。

ケルソンファミリークリニックは、心療内科と内科を併設した家族向けクリニック。大泉学園駅より西武バスにて「大泉郵便局」下車、徒歩1分です。土日祝日も診療し、オンライン診療にも対応しています。「病院に行くのは少し怖い」——その最初の一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか。

生活習慣病について

生活習慣病とは、食事・運動・飲酒・喫煙・ストレスといった日々の生活習慣が発症や進行に関わる病気の総称です。代表的なものに、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満症などがあります。

これらの病気は、単独でも動脈硬化を進めますが、複数重なるとリスクが相乗的に高まることが知られています。「メタボリックシンドローム」と呼ばれる内臓脂肪型肥満+高血圧・高血糖・脂質異常の組み合わせは、心筋梗塞・脳梗塞のリスクを大きく押し上げます。

脂質異常症は健康診断で見つかりやすく、自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに動脈硬化が進んでいることが少なくありません。健診で異常を指摘されたら、早めのご相談をおすすめします。

脂質異常症とは?

脂質異常症は、血液中の脂質(コレステロール・中性脂肪)のバランスが崩れた状態を指します。以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、HDL(善玉)コレステロールが低い場合も含めるため、2007年から「脂質異常症」という名称に変わりました。

日本動脈硬化学会のガイドラインでは、次のいずれかに該当すると脂質異常症と診断されます。

  • LDL(悪玉)コレステロール:140mg/dL以上
  • HDL(善玉)コレステロール:40mg/dL未満
  • 中性脂肪(トリグリセライド):空腹時150mg/dL以上、非空腹時175mg/dL以上
  • non-HDLコレステロール:170mg/dL以上

LDLコレステロールが高いと、血管の壁にコレステロールが溜まって動脈硬化が進みます。HDLコレステロールが低いと、血管からコレステロールを回収する働きが弱まります。中性脂肪が高いと、HDLが減り、LDLが小型化して動脈壁に入り込みやすくなります。

脂質異常症の原因は、遺伝的な体質に加えて、食事・運動不足・肥満・喫煙・飲酒・ストレスといった生活習慣が大きく関わります。また、甲状腺機能低下症・糖尿病・腎臓病・一部の薬が原因で起こるタイプもあります。

ケルソンファミリークリニックでは、血液検査で数値を確認したうえで、他の生活習慣病や身体の病気がないかも含めて診ていきます。

脂質異常症の特徴と症状について

脂質異常症は、基本的には自覚症状がないのが特徴です。健康診断の血液検査で偶然見つかることがほとんどで、「症状がないからまだ大丈夫」と放置されやすい病気です。

気づきのサインと合併症

自覚しやすいサイン

  • 健康診断で「要再検査」「要精密検査」が出た
  • 家族に心筋梗塞・脳梗塞の方がいる
  • 目の周りに黄色い脂肪の塊(黄色腫)がある
  • アキレス腱が太く見える
  • ここ数年で体重・腹囲が増えた

放置した場合の合併症

  • 動脈硬化:血管の壁が厚く・硬くなる
  • 狭心症・心筋梗塞:心臓に血液を送る血管が詰まる
  • 脳梗塞:脳の血管が詰まる
  • 閉塞性動脈硬化症:足の血管が狭くなり歩行困難に
  • 急性膵炎:中性脂肪が極端に高い場合に起こる可能性

動脈硬化はゆっくり進みますが、突然の発作(心筋梗塞・脳梗塞)として表面化することが少なくありません。

こんな方は早めの受診を

  • 健診で LDLコレステロール 140以上、中性脂肪 150以上を指摘された
  • 親・兄弟姉妹に若い年齢(男性55歳未満・女性65歳未満)で心筋梗塞や脳梗塞の方がいる
  • 肥満、糖尿病、高血圧のいずれかがある
  • 喫煙している
  • 運動不足や食事の乱れが気になる

脂質異常症の改善方法と治療について

脂質異常症の治療は、食事・運動・体重管理といった生活習慣の改善を土台に、必要に応じて薬物療法を組み合わせます。どの程度まで下げるべきか(目標値)は、他の病気や動脈硬化のリスクによって変わるため、個別に設定します。

1. 食事療法

食事は脂質管理の最も大きな要素の一つです。

  • 和食ベース:魚・野菜・海藻・大豆製品・未精製穀類を中心に
  • 動物性脂肪を減らす:バター・ラード・脂身の多い肉を控える
  • トランス脂肪酸を避ける:マーガリン・ショートニングを使った加工食品に注意
  • 食物繊維を増やす:野菜・きのこ・海藻・玄米など
  • 青魚を取り入れる:EPA・DHAは中性脂肪を下げる働きがあります
  • 糖質・お菓子・ジュースを減らす:中性脂肪を下げるのに有効

「脂質エネルギー比率20〜25%」が目安とされています。

2. 運動療法

有酸素運動は、HDL(善玉)コレステロールを増やし、中性脂肪を減らす効果があります。

  • ウォーキング・軽いジョギング・自転車・水泳など
  • 30分以上、週3〜5回が目安
  • 日常生活の中での「こまめな動き」も効果的(階段を使う、一駅歩くなど)

3. 薬物療法

生活習慣の改善だけでは目標値に届かない場合や、すでに動脈硬化が進んでいる場合は、薬物療法が検討されます。

  • スタチン:LDLコレステロールを下げる第一選択薬。アトルバスタチン・ロスバスタチン・ピタバスタチンなど
  • エゼチミブ:腸からのコレステロール吸収を抑える。スタチンと併用されることもあります
  • フィブラート:中性脂肪が高い方に使われる
  • EPA製剤:中性脂肪を下げ、抗動脈硬化作用が期待される
  • PCSK9阻害薬:重症例や家族性高コレステロール血症に用いられる注射薬

薬物療法は長期的に続けることで効果が出ます。自己判断で中断せず、医師と相談しながら調整しましょう。

4. 合併症の管理

糖尿病・高血圧・肥満・喫煙は脂質異常症と合わさって動脈硬化のリスクを大きく上げます。それぞれを個別に管理するのではなく、総合的に対応することが大切です。

5. 生活全般でのセルフケア

  • 禁煙:動脈硬化のリスクを下げる最も効果的な対策の一つ
  • 節酒:飲みすぎは中性脂肪を上げる要因に
  • 体重管理:内臓脂肪の減少が、中性脂肪・HDLの改善につながる
  • 十分な睡眠:睡眠不足は代謝のバランスを崩します
  • 定期的な血液検査:数値の推移を追うことで効果を実感できます

脂質異常症は、早めの対応と継続的な管理で、心筋梗塞・脳梗塞などの大きな病気を予防できる病気です。健診で指摘された方、ご家族の脂質異常が気になる方、まずはお気軽にケルソンファミリークリニックまでご相談ください。大泉学園駅より西武バスにて「大泉郵便局」下車、徒歩1分。土日祝日も診療、オンライン診療にも対応しています。

執筆

田中 良恵

ケルソンファミリークリニック院長

2003年 島根大学医学部卒業。東京女子医科大学病院での研修を経て、精神科・プライマリーケア・訪問診療の領域で臨床経験を積む。アメリカ テキサス州での事業経営を経験したのち帰国。東京武蔵野病院精神科を経て、2026年6月 ケルソンファミリークリニックを開院。精神保健指定医、日本医師会認定産業医。