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過食がやめられないときの相談先|初診で聞かれること

2026.09.22

「食べないようにしていたのに、気づいたら止まらない」という困りごと

日中はできるだけ食べないようにがんばって、夜になると歯止めがきかなくなる。食べ終わってから強く後悔して、翌日はまた食事を抜く。このくり返しに疲れて検索された方が、この記事にたどり着いているのではないかと思います。

まず知っておいていただきたいのは、これは「意志が弱いから起きること」ではない、ということです。食事を強く制限したあとに反動で食べすぎてしまうのは、身体とこころの両方に理由があります。ここでは、その仕組みと、摂食障害という見方、そしてどんなときに相談を考えるとよいかを、順番に整理していきます。

院長の田中です。当院は心療内科・精神科・内科を一緒に診ているクリニックで、摂食障害や体重の悩みのご相談も受けています。医学的な話と、実際に受診したら何をするのかという話を、どちらも書いていきます。

制限の反動で過食が起きる仕組み

食事の制限と過食と後悔がくり返しになる仕組みを示した図

身体の側:足りない状態への反応

食事量を大きく減らすと、身体は「エネルギーが足りない」と判断します。その状態が続くと、食べ物への関心が強まったり、食事の場面で量の調整がしにくくなったりすることが知られています。これは異常な反応ではなく、生き延びるために備わっている働きの一部です。

糖質を極端に抜く、朝食と昼食を抜く、置き換えだけで一日を終える。こうした食べ方が続いたあとに夜間の過食が起きやすくなるのは、身体の側から見ると自然な流れでもあります。

こころの側:ルールと反動

「これは食べてはいけない」という自分ルールが厳しいほど、破ったときの反動が大きくなりやすい、という関係もあります。一口食べてしまった時点で「もう今日はダメだ」と切り替わり、かえって大量に食べてしまう。翌日はその埋め合わせにもっと厳しく制限する。この往復が習慣になると、自分の力だけでは抜けにくくなります。

ストレスや気分との関係

仕事や家庭の緊張が高い時期、眠れていない時期、気分が落ち込んでいる時期に、過食が増えることもあります。食べることが、一時的に気持ちを切り替える手段になっている場合です。この場合は食事の工夫だけでは変わりにくく、背景にある不眠や落ち込みのほうを一緒に見ていく必要があります。

「摂食障害」という見方をしてみる

過食がやめられない状態は、医学的には摂食障害という枠組みで考えられることがあります。摂食障害は、食べる量や食べ方、体重・体型へのとらわれが強くなり、生活や心身の健康に影響が出ている状態の総称です。主なものに、神経性やせ症(拒食)、神経性過食症、過食性障害(むちゃ食い症)があります。

厚生労働省が運営する情報サイト「e-ヘルスネット」では、摂食障害について、思春期から青年期の女性に多いこと、体重や体型への強いこだわりが背景にあること、身体面・心理面の両方の治療が必要になることが解説されています(厚生労働省 e-ヘルスネット「摂食障害」)。

ここで大切なのは、診断名がつくかどうかよりも、「この見方で考えたほうが解決に近づくかどうか」です。自分の食べ方を意志の問題として責め続けるより、身体とこころの反応として扱ったほうが、手の打ちようが出てきます。

「私は太っているから過食は当然」と思っている方へ

体重が標準範囲でも、やせ型でも、体重が多めでも、過食のつらさは同じように起こります。体重の数値で「相談していいかどうか」を決める必要はありません。逆に、体重が増えていることが気がかりな場合は、過食の相談と体重の相談を切り分けずに、両方一緒に診てもらうほうが整理しやすくなります。当院では体重の背景(過食の有無、代謝、血糖など)を確かめてから方針を決めています。体重そのものの治療の枠組みについては、肥満症の治療で保険適用となる範囲|受診前の準備と費用の目安でも当院の考え方を書いています。

相談を考えたい場面

過食の相談を考えたい場面を6項目のチェックリストで示した図

「どのくらいひどくなったら相談すべきか」を日数や回数で決めるのは、あまり役に立ちません。それよりも、次のような状況になっているかどうかを見てください。

場面 見ておきたいこと
生活への影響 過食のために予定を断る、外食や人との食事を避ける、仕事や学業に集中できない
くり返しから抜けられない 自分なりに何度も工夫したが、制限と過食の往復が変わらない、または悪化していく
代償行動がある 食べたあとに吐く、下剤や利尿薬を使う、極端な絶食や運動で埋め合わせる
身体のサイン 月経が止まった・乱れた、立ちくらみ、強いだるさ、歯のしみ、むくみ
気分のサイン 食べたあとの自己嫌悪が強く続く、気分の落ち込みが抜けない、眠れない日が続く
ひとりで抱えている 誰にも言えず、隠すための工夫が生活の中心になっている

とくに、吐く・下剤を使うといった代償行動がある場合は、身体への負担が積み重なりやすいため、早めに医療機関で身体の状態も確認しておくことをおすすめします。また、意識が遠のく、ひどい脱力がある、動悸が強いといった症状があるときは、様子を見ずに受診してください。

なお、「まだ大したことではないかもしれない」と感じている段階でも、相談して構いません。相談のハードルを自分で上げる必要はありません。

どこに相談すればよいか

医療機関(心療内科・精神科・内科)

過食のご相談は、心療内科や精神科が窓口になります。摂食障害では身体面の確認も必要になるため、内科的な検査も一緒にできる体制だと話が早く進みます。当院は心療内科・精神科・内科を標榜しており、こころの相談と血液検査などの身体の確認を同じ場所で行えます。

公的な相談窓口

医療機関の受診をまだ決めきれないときは、お住まいの自治体の保健所・保健相談所、精神保健福祉センターでの相談も利用できます。また、国立精神・神経医療研究センターに設置されている摂食障害全国支援センターが、本人やご家族向けの情報を公開しています。費用をかけずに情報を得たいときの選択肢になります。

学校・職場の相談先

学生の方はスクールカウンセラーや学校医、働いている方は産業医や健康相談窓口も入口になります。「どの科に行けばいいか分からない」段階の整理役として使えます。

ご本人が受診に気が進まないとき

ご家族が心配していても、ご本人が「病気じゃない」「行きたくない」と言うことは珍しくありません。当院では、ご本人が受診を嫌がる・来られない場合に、ご家族だけでご相談いただく枠を設けています(自費13,200円・税込、1回、所要はご予約時にご案内します)。保険診療ではないため全額自己負担となり、この相談だけで診断がつくわけではありません。ご本人がいない状態では判断できることに限りがある点も、あらかじめご了承ください。状況を伺ったうえで、訪問診療につなげることもあります。

初めて受診するとき、何をするのか

「精神科に行くのは怖い」と感じる方は多いです。実際に初回で行うことは、おおむね次のような流れです。

段階 内容
問診 いつから、どんなときに過食が起きるか、食事の1日の流れ、体重の変化、睡眠、気分、生活の状況などを伺います
身体の確認 体重・血圧の測定、必要に応じて血液検査などで、身体への影響が出ていないかを確認します
見立ての共有 いま起きていることをどう理解するか、何から手をつけるかを一緒に整理します
方針の相談 食事の立て直し方、通院の間隔、必要に応じて薬やカウンセリングの検討などを相談します

初回ですべてが決まるわけではなく、話せる範囲で構いません。「うまく説明できるか不安」という場合は、メモを持参していただくと伝えやすくなります。書く内容は、過食が起きた日とそのときの状況、1日の食事のだいたいの流れ、困っていることを3つ程度、で十分です。

薬については、状態によって検討する場合もありますが、過食に対して薬だけで解決を図るという考え方はとりません。食事のリズムを立て直すこと、背景にある気分や不眠を扱うことが土台になります。改善の速さや程度には個人差があり、必ず良くなるとお約束できるものではありません。

費用について

摂食障害の診療は健康保険の対象です。自己負担割合に応じたお支払いになります。診断書など保険がきかない書類の作成費用は、当院では公式サイトの料金表に掲載しています。

相談までの間、家でできること

受診を待つ間、無理のない範囲でできることがあります。どれも「過食をゼロにする方法」ではなく、反動が起きにくい土台を整えるための考え方です。

  • 食事を抜かない:欠食は反動につながりやすい要因のひとつです。量を完璧にそろえようとせず、まず「3回とる」ことを優先します
  • 禁止食品を増やしすぎない:「絶対に食べない」ルールが多いほど、破ったときの反動が大きくなりやすくなります
  • 体重を測る回数を決める:一日に何度も測ると数値に振り回されやすくなります。測る頻度をあらかじめ決めておく方法があります
  • 睡眠を削らない:睡眠不足の時期に食欲の調整が難しくなることがあります。眠れない状態が続くなら、そちらも相談の対象です
  • 記録は責めるためでなく共有のために:食べた量を採点するのではなく、「どんな場面で起きたか」を書き残すと、診察で役立ちます

過食のあとに強い自己嫌悪が出るのは、この状態にある方に共通して見られます。その気持ちを抑え込む必要はありませんが、「反省が足りないから続く」という考え方は、かえって制限を強めて反動を大きくする方向に働きます。

眠れない日が続いていて気になる方は、朝起きられない対処|家でできる起床習慣の整え方も参考にしてください。いまの気分や体調を自分で見立てたいときは、メンタルの症状チェック|結果の活かし方がわかるで、チェックの結果をどう使うかを書いています。

受診先を選ぶときに見ておくとよいこと

摂食障害の相談先を探すとき、次のような点を確認しておくと、通い続けやすくなります。

  • こころの相談と身体の確認(血液検査など)を一緒に扱えるか
  • 自分の生活で通える時間帯に診療しているか
  • 初回に予約が必要か、当日でも受けられるか
  • 家族の同席や、家族だけの相談ができるか
  • 通院の間隔や、どのくらいの期間を見込むかを説明してもらえるか

当院は東京都練馬区大泉学園町にあり、診療時間は午前9:00〜12:30、午後14:30〜18:00です。水曜日は休診で、土日祝と年末年始も診療しています。平日に休みを取りにくい方が土曜や日曜に来院されることもあります。予約は電話・LINE・メール・ホームページから受け付けていますが、予約なしでの受診も可能です(予約優先)。西武線大泉学園駅から西武バス「大泉郵便局」下車徒歩1分で、提携駐車場もあります。通いやすさの見方については、練馬のクリニック選び|土日祝も通える受診先の決め方がわかるにも整理しています。

過食の悩みは、誰にも言えないまま何年も続いてしまうことがあります。けれど、話してみると「そういう仕組みだったのか」と整理がつく部分も少なくありません。ひとりで抱え込んでいる時間を、少し短くできればと思います。

過食がやめられないのは何科に相談すればよいですか
心療内科または精神科が窓口になります。過食では体重の変化や血液検査など身体面の確認も必要になることがあるため、内科的な診察も一緒にできる医療機関だと相談が進めやすくなります。受診を決めきれない段階では、お住まいの自治体の保健所・保健相談所や精神保健福祉センターでの相談も利用できます。
体重が標準の範囲でも摂食障害の相談をしてよいのでしょうか
かまいません。摂食障害は体重の数値だけで判断されるものではなく、食べる量や食べ方、体型へのとらわれによって生活や心身に影響が出ているかどうかが問題になります。やせている場合も、標準の場合も、体重が多めの場合も、過食による困りごとがあれば相談の対象になります。
本人が受診を嫌がっています。家族だけで相談できますか
ケルソンファミリークリニックでは、ご本人が受診を嫌がる場合や来院が難しい場合に、ご家族だけでご相談いただく枠を設けています。費用は自費で13,200円(税込)、1回のご相談です。保険診療ではないため全額自己負担となり、ご本人がいない状態では診断はできず、判断できる範囲に限りがあります。状況を伺ったうえで訪問診療につなげることもあります。
初めて心療内科を受診するとき、何を準備すればよいですか
健康保険証と、服用中の薬がある場合はお薬手帳をお持ちください。話す内容に不安がある方は、過食が起きた日とそのときの状況、1日の食事のおおよその流れ、いちばん困っていることを3つ程度、メモにして持参されると伝えやすくなります。うまく説明できなくても、問診で医師が順に伺っていきます。
過食の治療には健康保険が使えますか
摂食障害の診療は健康保険の対象で、自己負担割合に応じたお支払いになります。一方で、診断書などの書類作成や、ご本人が来院されない場合のご家族のみの相談は保険の対象外となり、自費でのお支払いになります。自費となる項目の金額は、医療機関の料金表で事前にご確認ください。

執筆

田中 良恵

ケルソンファミリークリニック院長

2003年 島根大学医学部卒業。東京女子医科大学病院での研修を経て、精神科・プライマリーケア・訪問診療の領域で臨床経験を積む。アメリカ テキサス州での事業経営を経験したのち帰国。東京武蔵野病院精神科を経て、2026年6月 ケルソンファミリークリニックを開院。精神保健指定医、日本医師会認定産業医。