摂食障害の相談は、心療内科か精神科がはじめの窓口になります
「食べられない」「食べ始めると止まらない」「食べたあとに吐いてしまう」。こうした食行動の悩みで病院を探し始めたとき、多くの方が最初につまずくのが「これは何科なんだろう」という疑問です。内科でいいのか、精神科なのか、そもそも病院に行くほどのことなのか。そこで手が止まってしまう方は少なくありません。
結論からお伝えすると、摂食障害のご相談は心療内科または精神科が基本の窓口になります。摂食障害は、こころの状態と、体重・栄養・ホルモンといったからだの状態が、たがいに影響し合って続いていく病気です。心療内科と精神科は、その両方を視野に入れて診ていく科にあたります。
当院(ケルソンファミリークリニック・東京都練馬区大泉学園町)は心療内科をベースにした診療所で、うつ病や不安障害などと並んで摂食障害・肥満症も受け入れて診療しています。体重や食行動のご相談では、お話を伺うだけで終わりにせず、血液検査・体重測定・血圧などでからだの状態を確かめたうえで方針を考えていきます。
心療内科と精神科は、どちらを選べばよいのでしょうか
この二つは、受診する側から見ると重なる部分が大きい科です。一般に、心療内科は「ストレスがからだの症状として出ている状態」を、精神科は「気分や考えの不調そのもの」を主に扱うと説明されますが、実際には同じ医師が両方を標榜していることも多くあります。当院も心療内科・精神科・内科をあわせて標榜しています。
ですので、名前の違いで迷い続けるよりも、「食べることの悩みを診てもらえますか」と電話で確認して、受け入れているところを選ぶほうが実際的です。摂食障害は専門性が必要な領域で、すべての医療機関が対応しているわけではありません。問い合わせの一言で、無駄足をひとつ減らせます。
症状や状況別に見る、最初の窓口の考え方

どこへ行くかは、いま何がいちばん困っているかで変わります。目安として整理します。
| いまの状況 | はじめに相談する先 | 考え方 |
|---|---|---|
| 食べ方や体重のことで頭がいっぱい。気分の落ち込みや不安もある | 心療内科・精神科 | 食行動とこころの状態をあわせて診ていきます |
| 立ちくらみ、強い倦怠感、意識が遠のく感じがある | 内科・救急 | 栄養や電解質のバランスが崩れている可能性があり、からだの確認が先になります |
| 生理が止まっている・不順が続く | 心療内科・精神科/婦人科 | 体重や栄養の変化が関係していることがあります |
| 嘔吐を繰り返していて歯がしみる | 歯科もあわせて | 胃酸の影響が歯に出ることがあります |
| お子さんの食事量が急に減った | 小児科/心療内科 | 成長期は体重の変化の意味が大人と異なります |
| ご本人が受診を嫌がる・話題にできない | ご家族だけで心療内科へ | ご家族の相談を受けている医療機関があります |
なお、からだの症状が強いときは、こころの診療より先にからだの評価が必要になることがあります。ふらつきが続く、脈が飛ぶ感じがする、手足に力が入らない、動けないほどだるい──こうした状態は、時間をかけて相談先を探すより、まず内科や救急を頼ってください。
「病院に行くほどではない」と思ってしまうとき
摂食障害でつらいのは、困っていること自体が自覚しにくい点です。体重が減っているほど調子が良いように感じられたり、過食や嘔吐を「意志が弱いだけ」と自分を責める形で片づけてしまったり。だから受診が遅れやすい。ここは責任の所在の話ではなく、病気の性質としてそうなりやすい、ということです。
受診を考えてよい状況の目安を挙げます。日数で区切らず、状況で見てください。
- 食べること・体重のことを考える時間が増えて、仕事や学校、人との約束に支障が出ている
- 食事を抜く、極端に減らす、食べたあとに吐く、下剤を使うといった行動がくり返されている
- 体重の変化が続いている、または生理が止まっている
- 人と食事をとることを避けるようになった
- 自分では止めたいのに止められない、と感じている
- ご家族が心配を口にしているのに、話し合いにならない
ひとつでも当てはまり、しばらく様子を見ても変わらない、あるいは少しずつ悪くなっていると感じるときが、相談のタイミングです。「まだ軽いうちに行ってよいのか」と迷われる方が多いのですが、軽いうちに相談していただくほうが、こちらとしても選べる手立てが多く残っています。
ご本人が来られないとき、ご家族だけで相談できます
摂食障害のご相談で特に多いのが、「本人が病院に行きたがらない」というお困りごとです。心配して声をかけるほど関係がこじれてしまう、食事のたびに言い合いになる、というお話もよく伺います。
当院では、ご本人が受診を嫌がる・来られない場合に、ご家族だけのご相談を受けています。費用は1回あたり13,200円(税込)の自費診療で、健康保険は使えません。この相談ではご本人を直接診察していないため、診断名をつけることや、ご本人へのお薬を処方することはできません。できるのは、いまの状況を伺ったうえで、声のかけ方や家庭での食事の扱い方を一緒に考えること、受診につながりやすい道筋を探すこと、そして状況によっては訪問診療につないでいくことです。できることとできないことがはっきりしている分、過度な期待を持たずに使っていただければと思います。
ご家族が先に相談することは、本人を裏切る行為ではありません。支える側が倒れてしまわないための時間でもあります。
初診では何を聞かれるのでしょうか

はじめての受診は、それだけで緊張するものです。当院で食行動のご相談を受けるときは、おおむね次のようなことを伺います。
- いつごろから、どんなふうに食べ方が変わってきたか
- 1日の食事の流れ(抜いている食事があるか、まとめて食べる時間帯があるか)
- 嘔吐や下剤の使用があるか
- 体重の変化、生理の有無
- 眠れているか、気分の落ち込みや不安があるか
- 学校・仕事・家庭で、いま何に困っているか
話しづらいことは、話せる範囲で構いません。全部を一度に伝えなくても診療は進みます。そのうえで当院では、血液検査・体重測定・血圧などでからだの状態を確かめます。過食や体重増加のご相談では、背景に代謝や糖尿病などが隠れていることもあり、そこを確かめてから方針を決めていきます。
持っていくとよいものは、健康保険証(マイナ保険証)、お薬手帳、他院の検査結果があればその用紙です。ご家族の同席も歓迎しています。過食で悩まれている方は、過食がやめられないときの相談先|初診で聞かれることもあわせてご覧ください。体重の増加が中心のお悩みでしたら、当院の肥満症の治療で保険適用となる範囲|受診前の準備と費用の目安でも受診前の準備をまとめています。
費用と、使える公的な相談窓口
摂食障害の診察・検査・お薬は、健康保険の対象です。通院が続く見通しになったときには、精神科の外来通院にかかる自己負担を軽くする自立支援医療(精神通院医療)という制度があります。申請には医師の診断書が必要で、当院の自立支援医療制度申請用の診断書は5,500円(税込)です。制度の要件や手続きはお住まいの自治体の窓口でご確認いただけます。
医療機関にかかる前に誰かに話したい、という場合は、各都道府県・政令指定都市に設置されている精神保健福祉センターや保健所が、こころの健康に関する相談を無料で受け付けています。また、摂食障害に特化した情報を集めた窓口として、国立精神・神経医療研究センターに設置されている摂食障害全国支援センターのウェブサイトがあり、相談先や支援拠点病院の情報が公開されています。どこに行けばよいか見当がつかないときの、最初の足場になります。
受診のタイミングが合わないときに
摂食障害のご相談は、平日の日中に時間を取りづらい方、学校や仕事を休みたくない方ほど後回しになりがちです。当院は午前9:00〜12:30、午後14:30〜18:00の診療で、水曜日以外は土日祝も年末年始も診療しています。予約なしでも受診いただけます(予約優先)。ご予約は電話・LINE・メール・ホームページから承っています。
通院が難しい日のために、オンライン診療にも対応しています(通常の処方箋と電子処方箋の両方の発行が可能です。薬剤の配送サービス「とどくすり」に登録された方は薬の配送も可能です)。また、火・金・土の午前は送迎を行っており、土曜日は原則としてクリニックと大泉学園駅の間の送迎です。提携駐車場(タイムズ大泉学園町第2・第4)には割引チケットをご用意しています。
食べることは、毎日のことです。毎日のことだからこそ、ひとりで抱えると出口が見えにくくなります。何科かで迷って立ち止まっているなら、まずは心療内科か精神科に「食べることで困っています」と伝えるところから。それだけで、次にやることがはっきりしてきます。