「気にしすぎ」で片づかない不安が続いているとき
人前に出ると心臓がドキドキする、電車に乗ると息苦しくなる、理由もなく胸がざわついて眠れない。こうした状態が続くと、「自分の性格の問題かもしれない」と考えて、受診をためらう方は少なくありません。けれど不安は、本来はわたしたちを危険から守るための大切な働きです。その働きが強く出すぎて、日常生活のほうが回らなくなっている状態を、医療では不安障害(不安症)と呼んでいます。
ここでは、心療内科でどんな治療が行われるのか、初診では何を聞かれるのか、費用はどう考えればよいのかを、順番に整理していきます。読み終えたあと、ご自分の状況に当てはめて次の一歩を決められることを目指して書きました。
不安障害にはいくつかのタイプがある

ひとことで不安障害といっても、現れ方はさまざまです。どのタイプに近いかによって、治療の組み立て方も変わってきます。国立精神・神経医療研究センターが運営する「こころの情報サイト」でも、不安症はいくつかの類型に分けて説明されています。
| タイプ | 特徴的な現れ方 | つらくなりやすい場面 |
|---|---|---|
| パニック症 | 突然の動悸・息苦しさ・めまい。「このまま倒れるのでは」という強い恐怖 | 電車、エレベーター、人の多い場所 |
| 社交不安症 | 人に見られる・評価される場面での強い緊張、赤面、手の震え | 会議の発言、電話、人前での食事 |
| 全般不安症 | 仕事・家族・健康など、対象を変えながら心配が続く。肩こりや不眠を伴いやすい | 特定の場面に限らず、一日中 |
| 広場恐怖 | 「すぐに逃げられない場所」を避けるようになり、行動範囲が狭まる | 遠出、渋滞、行列 |
自分がどれに当てはまるかを、受診前に決めておく必要はありません。むしろ、どんな場面でどんな症状が出たかをそのまま伝えていただくほうが、診察では役に立ちます。
心療内科と精神科、どちらに行けばよいのか
よくいただくご質問です。おおまかな考え方としては、動悸・息苦しさ・腹痛・めまいなど、からだの症状として強く出ている場合は心療内科、気分の落ち込みや強い不安そのものが前面に出ている場合は精神科、という区分けがされることが多いです。
ただ実際には、両方を標榜している医療機関が多く、受診先で迷って足が止まってしまうほうがもったいない、というのが正直なところです。当院は心療内科・精神科・内科をあわせて標榜していますので、「心の問題なのか、からだの病気なのか分からない」という状態のままお越しいただいて構いません。
なお、めまいやふらつきが主な症状の場合は、耳や血圧など身体側の原因を先に確かめたほうがよいこともあります。感じ方による見分け方は内科でめまいを相談するとき|3つの感じ方と受診の目安にまとめています。
受診を考えたほうがよい状況
何日続いたら受診、という線引きは、症状の重さや生活への影響によって変わるため、一律には決められません。目安になるのは日数よりも「状況」です。
- 不安のために、行けなくなった場所・できなくなった行動がある
- 仕事や家事に支障が出ていて、しばらく様子を見ても戻らない
- 眠れない日が重なり、日中の集中力が落ちている
- 「また起きたらどうしよう」という予期不安で、外出前から消耗する
- 症状が少しずつ悪くなっている、避ける場面が増えている
ひとつでも当てはまるなら、相談のタイミングとしては十分です。早い段階で相談したからといって、必ず薬を飲むことになるわけではありません。
不安障害の治療は、大きく3つの柱で進む
1. 精神療法(話す治療)
不安が強まる場面、そのときに頭に浮かぶ考え、とった行動を一緒に整理していく方法です。代表的なものが認知行動療法で、厚生労働省も医療従事者向けの研修事業として実施体制の整備を進めています。「避けること」で一時的に不安は下がりますが、避ける行動が増えるほど行動範囲は狭まりやすい、という仕組みを理解しておくことが、治療の土台になります。進み方や感じ方には個人差があります。
2. 薬物療法
不安や動悸が強く、生活が立ち行かない状態では、薬を使って症状の波をならしながら、話す治療や生活の立て直しを進めることがあります。薬は飲んですぐ効果が出るものばかりではなく、種類によっては効果の現れ方がゆるやかなものもあります。効き方・副作用の出方には個人差がありますので、診察のたびに体調を確認しながら調整していきます。当院では薬剤名を一律にご案内することはせず、症状と持病、お仕事の内容を伺ったうえでご相談しています。
3. 生活リズムと身体の確認
睡眠不足、カフェインの摂りすぎ、貧血や甲状腺の病気などでも、動悸や不安に似た症状が出ることがあります。当院は内科も診ていますので、必要に応じて血液検査や血圧の測定を行い、身体側の要因を確かめてから方針を決めます。これは原因を切り分けるための手順で、検査をすれば症状がなくなる、という意味ではありません。
初診で聞かれること、持っていくとよいもの

はじめての受診は、それ自体が緊張する出来事だと思います。何を話せばよいか分からない、という状態でお越しいただいて大丈夫ですが、次のようなことを聞かれると知っておくと、少し気が楽かもしれません。
- いつごろから、どんな場面で症状が出るか
- 症状が出たときのからだの反応(動悸、発汗、息苦しさなど)
- 睡眠、食欲、体重の変化
- 仕事や学校、家庭でどのくらい支障が出ているか
- これまでにかかった病気、現在飲んでいる薬、お酒やカフェインの量
お持ちいただくとよいのは、健康保険証、お薬手帳、他院の検査結果があればその写し。メモ書きで構いませんので、症状が出た日と場面を書き出したものがあると、診察時間を症状の整理に使えます。
費用と、通院を続けるための制度
不安障害の診察や処方は、健康保険が使える保険診療です。窓口負担は年齢や加入する保険によって決まり、多くの方は3割負担となります。初診では検査を行うこともあるため、その分の負担が加わります。
通院が続く見込みのある方には、自立支援医療(精神通院医療)という公的な制度があります。厚生労働省の制度で、精神疾患による通院医療費の自己負担が原則1割に軽減されるもので、所得に応じて月あたりの上限額も設けられています。申請には医師の診断書と、お住まいの自治体(練馬区の方は区の窓口)への手続きが必要です。対象になるかどうかは診察のなかでご相談いただけます。
通院はどのくらい続くのか、薬はやめられるのか
これも多い質問ですが、期間を一律にお伝えすることはできません。症状の重さ、生活環境、仕事の状況によって経過が変わるためです。一般的には、症状が落ち着いてからもしばらく同じ治療を続け、そのうえで医師と相談しながら減らしていく、という進め方がとられます。
気をつけていただきたいのは、自己判断で急にやめないことです。急な中止で体調を崩すことがあるため、減らすときも診察のなかで進め方を決めます。「そろそろ減らしたい」と思ったら、まずその希望を口に出していただくところからで構いません。
本人が受診に踏み切れないとき
ご家族から「本人が病院を嫌がる」とご相談をいただくことがあります。無理に連れてくることが難しい場合、ご家族だけで相談に来ていただく方法があります。当院のご家族のみの相談は、健康保険の対象外となる自費の相談で、費用は1回13,200円(税込)です。1回ごとのご来院としてお受けしており、継続するかどうかはそのつどご相談いただけます。ご本人が同席されないため、その場で診断を下したり、ご本人へのお薬を処方したりすることはできません。状況を伺ったうえで、訪問診療などの選択肢をご案内することもあります。
ご家族の関わり方については家庭環境の悩みと心の不調|本人が受診を嫌がるときの選択肢でも触れています。
当院の診療時間と受診方法
ケルソンファミリークリニック(東京都練馬区大泉学園町5-6-22)は、診療時間が午前9:00〜12:30、午後14:30〜18:00で、水曜が休診日です。土日祝や年末年始も診療していますので、平日に休みを取りにくい方でもご相談いただけます。予約は電話・LINE・メール・ホームページから受け付けており、予約優先ですが予約なしでの受診も可能です。
来院が難しい日には、オンライン診療もお使いいただけます。通常の処方箋と電子処方箋の両方の発行が可能です。薬剤の配送サービス「とどくすり」に登録された方は薬の配送も可能です。
お車の方は提携駐車場(タイムズ大泉学園町第2・第4)に割引チケットのご用意があり、電車の方は西武線大泉学園駅から西武バス「大泉郵便局」下車すぐです。火・金・土の午前は送迎も行っています。キッズスペースもありますので、お子さま連れでもお越しいただけます。