Blog

インフルエンザB型の症状|A型との違いと検査のタイミング

2026.09.25

インフルエンザB型とA型は、何がどう違うのでしょうか

インフルエンザA型とB型の流行時期と症状の傾向を比べた図

「今年はB型が流行っているらしい」「検査でB型と言われた」。そんなきっかけでこのページにたどり着いた方が多いのではないでしょうか。こんにちは、ケルソンファミリークリニック院長の田中良恵です。当院は心療内科・精神科をベースにしながら、風邪症状や発熱といった内科の診療も行っています。冬になると、ご家族そろって発熱で来られることも珍しくありません。

まず押さえておきたいのは、A型もB型も同じ「インフルエンザウイルス」による感染症で、基本的な病気としての扱いは変わらないという点です。急な発熱、全身のだるさ、関節や筋肉の痛み、のどの痛みや咳といった症状が出るところは共通しています。厚生労働省の「インフルエンザ(総合ページ)」でも、インフルエンザは通常の風邪と異なり、38度以上の発熱や全身症状が比較的急激に現れると説明されています。

そのうえで、B型には「出やすい症状の傾向」「流行する時期」「かかり方」にいくつか特徴があります。ここでは、A型と比べたときのB型の輪郭を順番に見ていきます。

ウイルスとしての違いをざっくり言うと

インフルエンザウイルスにはA型・B型・C型があり、季節性のインフルエンザとして毎年流行するのは主にA型とB型です。A型は種類(亜型)が多く、大きく変化することがあるため、世界的な大流行を起こすのはA型とされています。一方でB型は、A型ほど大きくは変化しないと考えられており、いわゆるパンデミックの主役にはなりにくいタイプです。

ただし「大流行しにくい=軽い」という意味ではありません。B型でも高熱は出ますし、つらさの感じ方には個人差があります。B型だから軽く済む、と決めつけずに体調を見ていただくのが安全です。

A型 B型
ウイルスの型の数 多く、変化が大きい 比較的少なく、変化は緩やか
流行の時期 シーズンの前半に多い傾向 シーズンの後半にずれ込む傾向
症状の傾向 高熱・全身症状が目立ちやすい 消化器症状を伴うことがある
同じ冬に二度かかるか A型のあとにB型、という形で起こりうる

※上の表は傾向をまとめたもので、個々の方の経過を決めるものではありません。A型で吐き気が出る方も、B型で消化器症状がまったく出ない方もいらっしゃいます。

B型で腹痛・吐き気・下痢が出やすいと言われる理由

B型の話でよく出てくるのが、おなかの症状です。発熱と一緒に、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢といった消化器の症状を伴うことがある、と言われます。実際、「熱も出たけれど、それよりおなかが痛くてつらい」と受診される方もいらっしゃいます。

とくにお子さんでは、インフルエンザに伴って嘔吐や下痢といった消化器症状がみられることがあると、厚生労働省のインフルエンザに関する情報でも触れられています。胃腸炎と見分けがつきにくく、「おなかの風邪かと思っていた」というお話をうかがうこともあります。

「熱がそれほど高くない」ことがある

もうひとつ、B型では「38度台の前半で止まっていて、インフルエンザだと思わなかった」というケースが見られます。高熱が出ないから違う、とは言い切れないのがインフルエンザの難しいところです。

判断のヒントになるのは、熱の高さそのものよりも症状の出方の急さと全身のだるさです。昨日まで元気だったのに、今日の夕方から急に体が重くて動けない。関節や腰、太ももが痛む。そうした「急に、全身に」という出方があるときは、熱の数字が控えめでもインフルエンザの可能性を考えます。

水分が摂れているかを見てください

おなかの症状が出ているときに、家庭でいちばん見ていただきたいのが水分です。嘔吐や下痢が続くと、発熱による発汗と重なって体の水分が失われやすい状態になります。一度にたくさん飲むと吐いてしまうことがあるので、少量ずつ回数を分けて摂るのが基本です。経口補水液やスポーツドリンクのように、水分と塩分をあわせて摂れるものが使いやすいでしょう。

飲んでも飲んでも吐いてしまう、尿の回数が明らかに減っている、唇や舌が乾いている、ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い。こうしたときは、時間を置かずに医療機関に相談してください。とくに小さなお子さんとご高齢の方は、脱水が進むのが早い傾向があります。

おなかの痛みが強く、インフルエンザとは別の原因も気になるときの考え方は、当院の腹痛で内科を受診する目安|大泉学園で迷ったときでも整理しています。

B型の流行はA型より遅れてやってくる

インフルエンザのシーズンは、日本ではおおむね冬から春先にかけてです。その中で、年内から年明けにかけてA型が先行し、その後にB型が増えてくるという順番になる年が多く見られます。2月、3月になってから「まだインフルエンザ?」という声が聞かれるのは、この後半のB型の流行と重なることが多いためです。

国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所)が公表している感染症発生動向調査では、週ごとの患者報告数とあわせて、検出されているウイルスの型が公開されています。今シーズンA型とB型のどちらが動いているかを知りたいときは、こうした公的な発生動向の情報を見るのが確実です。

「もう春だから」で油断しないほうがよい理由

三学期の終わりごろや、年度替わりの時期に体調を崩して、「季節の変わり目の風邪だろう」と考える方は少なくありません。けれど、その時期こそB型が動いていることがあります。卒業式や入学の準備、年度末の繁忙期と重なると、休みにくさから無理をしてしまいがちです。

発熱があるのに出勤・登校すると、ご自身の回復が遅れるだけでなく、周囲に広げてしまう可能性もあります。この時期の発熱こそ、いったん立ち止まって体温と症状の出方を確認していただきたいところです。

同じ冬にA型とB型、2回かかることはあるの?

あります。これはB型の話でいちばんよく聞かれる質問かもしれません。

インフルエンザにかかると、そのウイルスに対する免疫はできます。けれどA型とB型は別のウイルスですから、A型にかかって得た免疫が、そのままB型を防いでくれるわけではありません。そのため、年内にA型、年明けにB型という形で、同じシーズンに二度かかることが起こりえます。A型の中でも異なる亜型であれば、同様のことが起こりえます。

「一度かかったから今年はもう大丈夫」と考えて、手洗いやマスクをやめてしまう方がいらっしゃいますが、シーズン後半こそB型が出てくる時期です。一度かかったあとも、基本的な対策は続けていただくのがよいと思います。

検査は「早すぎると出ない」ことがあります

発症からの時間とウイルス量の関係を示し、検査が早すぎると陰性になりうることを表した図

「熱が出てすぐに病院へ行ったのに、陰性と言われた。でも翌日もっと具合が悪くなった」。このご相談も、冬になると多く受けます。

クリニックで広く使われている迅速検査は、鼻やのどの奥をぬぐって、そこにウイルスがどれだけ存在しているかを調べるものです。発症してすぐの時間帯は、まだ体の中のウイルスの量が少なく、実際にはインフルエンザにかかっていても検査で検出されないことがあります。これを偽陰性といいます。

だから「陰性でも、症状が続くなら疑う」

検査が陰性でも、急な高熱と全身のだるさ、関節痛といった症状がそろっていて、周囲に流行がある。そうした状況では、インフルエンザの可能性は残ります。陰性という結果だけを根拠に、出勤や登校を再開してしまうのは避けたいところです。

逆に、症状が出てからある程度時間が経っていれば、検査で捉えられる可能性は高くなります。とはいえ、では何時間待てばよいのかという一律の線引きは、症状の強さや年齢、基礎疾患によって変わります。発熱してすぐに受診したほうがよい方(高齢の方、持病のある方、呼吸が苦しい方、水分が摂れない方)もいますので、受診のタイミングそのものに迷うときは、電話で状況を伝えて相談していただくのが確実です。

受診のときに伝えると話が早いこと

  • いつ、どんなふうに具合が悪くなったか(急だったか、じわじわだったか)
  • いちばん高かったときの体温と、測った時刻
  • 解熱剤を飲んだかどうか、飲んだなら何時ごろか
  • おなかの症状(吐き気、嘔吐、下痢)の有無
  • 水分が摂れているか、尿は出ているか
  • 職場・学校・家庭で、インフルエンザにかかった人がいるか
  • 普段飲んでいる薬、持病、アレルギー

解熱剤を飲んだ直後は熱が下がっているため、「今は平熱です」という情報だけだと判断がずれてしまいます。お薬を飲んだ時刻まで伝えていただけると助かります。

治療について(詳しくは別ページで)

インフルエンザの治療には抗ウイルス薬が使われることがあり、年齢や持病、症状の経過を見て、使うかどうかを含めて判断します。使わずに経過を見る選択をすることもあります。薬の種類や選び方については、当院のかぜ・インフルエンザのページにまとめています。

受診の目安について(詳しくは別ページで)

呼吸が苦しい、水分が摂れない、意識がもうろうとしている、けいれんがあるといった状態は、様子を見るのではなく早めの受診が必要です。どんなときに受診するかの整理も、かぜ・インフルエンザのページで扱っています。

仕事・学校を休む日数について(詳しくは別ページで)

学校は学校保健安全法で出席停止の考え方が定められており、仕事の場合は職場の規定によります。この数え方はB型でもA型でも同じ考え方です。具体的な数え方は、インフルエンザは何日休む|学校と仕事の日数の数え方がわかるで解説しています。

予防接種について(詳しくは別ページで)

インフルエンザワクチンは、季節性インフルエンザのA型とB型に対応する成分を含む形で毎年準備されます。接種の時期や練馬区の助成については、練馬区のインフルエンザ予防接種|時期と費用がわかるをご覧ください。

家での過ごし方と、家族にうつさないための工夫

インフルエンザと診断されたあと、家庭で過ごす時間のほうが長くなります。ここが実はいちばん大事なところです。

本人の過ごし方

基本は休養と水分です。おなかの症状があるときは食欲が落ちますが、無理に食べる必要はありません。おかゆ、うどん、ゼリー、バナナなど、飲み込みやすく消化にやさしいものから少しずつで大丈夫です。

部屋が乾燥していると、のどや鼻の粘膜がつらく感じられることがあります。加湿器を使う、洗濯物を室内に干すなどで湿度を保つと、乾いた空気で刺激される状態を減らせます(楽に感じられるかどうかには個人差があります)。

熱が下がると、ご本人は「もう治った」と感じます。ただ、熱が下がってしばらくの間はウイルスが排出されていることがあるため、解熱=周囲にうつさない状態、とは限りません。ここは焦らないでいただきたいところです。

家族に広げないために家でできること

  • 部屋を分ける:可能であれば、療養する部屋を決めて、出入りする人を限る
  • 換気:定期的に窓を開けて空気を入れ替える。寒い時期は短時間でも複数回に分けて
  • マスク:本人も、看病する人も。咳やくしゃみのしぶきを減らす目的です
  • 手洗い:看病のあと、食事の前、トイレのあと。石けんで洗って流水ですすぐ
  • 共用を減らす:タオル、コップ、食器は分ける
  • おう吐物・便の処理:使い捨て手袋を使い、処理後は手を洗う。B型で消化器症状があるときはとくに
  • 看病役を絞る:ご高齢の方や妊娠中の方、持病のある方は、できるだけ看病役を避ける

厚生労働省も、インフルエンザの対策として咳エチケット、手洗い、適度な湿度の保持、十分な休養と水分摂取、人混みを避けることなどを挙げています。特別なことではありませんが、家庭内では「分ける」「洗う」「換気する」の3つを意識していただくだけでも違います。

看病する側の体調も見てください

ご家族が発熱すると、看病する方が寝不足になり、そのまま自分も倒れてしまう、という流れをよく見ます。とくに小さなお子さんや介護が必要な方がいるご家庭では、看病役が一人に集中しがちです。可能な範囲で交代する、頼れるところに頼る。ご自身の休息も、家族全体を守る対策のひとつだと考えてみてください。

当院での対応について

当院は東京都練馬区大泉学園町にあるケルソンファミリークリニックです。心療内科・精神科をベースにしたファミリークリニックとして、風邪症状や発熱、腹痛、めまいなどの内科診療も行っています。

診療時間は午前9:00〜12:30、午後14:30〜18:00で、水曜が休診です。土日祝、年末年始、ゴールデンウィークも診療しています。B型が流行しやすいシーズン後半は、年度末の忙しい時期と重なることが多いため、平日に時間が取れない方や、連休中に発熱してしまった方にもご相談いただけます。

ご予約は電話・LINE・メール・ホームページから受け付けており、予約なしでの受診も可能です(予約優先)。提携駐車場としてタイムズ大泉学園町第2(5台)・第4(7台)があり、利用者向けの割引チケットをご用意しています。院内にはキッズスペースがあります。当院で対応している診療内容は診療内容のページをご覧ください。

なお、土日祝も通える受診先をお探しの方に向けては、練馬のクリニック選び|土日祝も通える受診先の決め方がわかるでも考え方を整理しています。

よくあるご質問

インフルエンザB型はA型より軽いのですか
B型だから軽い、と決まっているわけではありません。A型もB型も同じインフルエンザウイルスによる感染症で、急な発熱、全身のだるさ、関節や筋肉の痛みといった症状が出る点は共通しています。B型では熱が38度台前半にとどまることもありますが、その一方で腹痛や吐き気、下痢といった消化器症状を伴うことがあり、つらさの感じ方には個人差があります。熱の高さだけで軽重を判断せず、水分が摂れているか、呼吸が苦しくないか、ぐったりしていないかといった全身の様子を見てください。
同じ冬にインフルエンザに2回かかることはありますか
あります。インフルエンザにかかるとそのウイルスに対する免疫はできますが、A型とB型は別のウイルスのため、A型にかかって得た免疫がB型を防いでくれるわけではありません。年内にA型、年明けから春先にかけてB型、という形で同じシーズンに二度かかることが起こりえます。A型の中でも異なる亜型であれば同様のことが起こりえます。一度かかったあとも、手洗いや換気といった基本的な対策は続けていただくのがよいと思います。
熱が出てすぐに検査を受けたのに陰性でした。インフルエンザではないということですか
陰性でも、インフルエンザではないと言い切れるわけではありません。広く使われている迅速検査は、鼻やのどの奥にウイルスがどれだけ存在しているかを調べるものです。発症してすぐの時間帯はウイルスの量が少なく、実際にはかかっていても検出されないことがあります。急な高熱と全身のだるさ、関節痛がそろっていて周囲に流行があるときは、陰性という結果だけを根拠に出勤や登校を再開せず、症状の経過を見て、必要なら改めて相談してください。
インフルエンザB型はいつごろ流行しますか
日本のインフルエンザシーズンは冬から春先にかけてで、その中で年内から年明けにA型が先行し、その後にB型が増えてくる順番になる年が多く見られます。2月や3月になってからの発熱を「季節の変わり目の風邪」と考えてしまいがちですが、その時期こそB型が動いていることがあります。今シーズンどの型が流行しているかを確認したいときは、国立健康危機管理研究機構が公表している感染症発生動向調査で、週ごとの報告数と検出されているウイルスの型を見ることができます。
家族がインフルエンザB型になりました。家庭で気をつけることは何ですか
家庭では「分ける」「洗う」「換気する」の3つが基本になります。療養する部屋を決めて出入りする人を限る、タオルやコップ、食器を分ける、本人も看病する人もマスクを使う、看病のあとや食事の前に石けんで手を洗う、定期的に窓を開けて空気を入れ替える、といった対応です。B型では嘔吐や下痢を伴うことがあるため、おう吐物や便を処理するときは使い捨て手袋を使い、処理後に手を洗ってください。ご高齢の方や妊娠中の方、持病のある方は、できるだけ看病役を避けられるとよいと思います。

執筆

田中 良恵

ケルソンファミリークリニック院長

2003年 島根大学医学部卒業。東京女子医科大学病院での研修を経て、精神科・プライマリーケア・訪問診療の領域で臨床経験を積む。アメリカ テキサス州での事業経営を経験したのち帰国。東京武蔵野病院精神科を経て、2026年6月 ケルソンファミリークリニックを開院。精神保健指定医、日本医師会認定産業医。