Blog

子宮頸がんワクチンの副反応|迷うときの症状と相談先

2026.09.13

子宮頸がん(HPV)ワクチンの副反応は、報告されているものの多くが接種した腕の痛み・赤み・腫れで、数日のうちに自然に軽くなっていく経過をたどるとされています(厚生労働省「HPVワクチンについて知ってください」リーフレット詳細版)。一方で、まれに重い副反応の報告もあり、接種の前にどんな症状があるのかを知っておくことは、迷っている方にとって意味のある準備だと考えています。

こんにちは。ケルソンファミリークリニック院長の田中良恵です。「打ったほうがいいのは分かるけれど、副反応が怖くて決められない」というご相談は、保護者の方からもご本人からもよくいただきます。このページでは、公的機関が公表している内容をもとに、どんな症状がどのくらい報告されているのか、接種の当日に気をつけること、体調が気になるときにどこへ相談すればよいかを、順を追ってお伝えします。

子宮頸がんワクチンの副反応として報告されている症状

子宮頸がんワクチンの副反応を接種部位・全身・まれな重い症状の3つに分類した図

ワクチンを打つと、体は「異物が入ってきた」と反応して免疫のしくみを働かせます。その反応の一部が、痛みや発熱といった形で表に出たものが副反応です。つまり、まったく何も起きないほうが珍しい、と考えておくほうが気持ちの準備になります。

接種した腕に起こるもの

もっとも多く報告されているのが、注射した部位の痛み、赤み、腫れです。腕が上がりにくい、重だるいと感じる方もいます。厚生労働省のリーフレット(詳細版)では、これらは接種後まもなく現れ、多くは自然に軽くなっていくとされています。ただし、感じ方や続く長さには個人差があります。

全身に起こるもの

発熱、頭痛、だるさ、吐き気、めまい、関節や筋肉の痛みなどが報告されています。いわゆる「ワクチンを打った翌日に熱っぽい」という状態です。学校や部活、仕事の予定が詰まっている日の前日は避けておくと、体調が優れないときに休みやすくなります。

まれに報告されている重い副反応

頻度は高くありませんが、公的な資料で重い副反応として挙げられているものに、アナフィラキシー(接種後短時間で起こる強いアレルギー反応)、ギラン・バレー症候群(手足の力が入りにくくなる)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM/頭痛やけいれん、意識の低下など)があります。いずれもきわめてまれとされていますが、接種後に手足の力が入らない、けいれんがある、意識がはっきりしない、息苦しい、全身にじんましんが出るといった変化があれば、様子を見ずに医療機関へ連絡してください。

分類 主な内容 おおまかな受け止め方
接種部位の症状 痛み・赤み・腫れ 報告の多くを占め、自然に軽くなる経過が多い
全身の症状 発熱・頭痛・だるさ・吐き気・関節痛 数日で落ち着くことが多いが個人差あり
まれな重い副反応 アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群、ADEM 頻度は低い。該当する症状が出たらすぐ連絡

※分類と内容は厚生労働省「HPVワクチンについて知ってください」リーフレット(詳細版)の記載に基づいています。最新版は厚生労働省のサイトで確認できます。

接種直後の失神(血管迷走神経反射)が心配なとき

副反応とは別に、注射そのものへの緊張や痛みで一時的に血圧が下がり、気が遠くなったり倒れたりすることがあります。これを血管迷走神経反射といい、HPVワクチンにかぎらず採血や他の注射でも起こります。転倒してけがをすることが問題になるため、厚生労働省のリーフレットでは、接種後30分程度は体重を預けられる場所に座るなどして様子を見ることがすすめられています。

「注射で気分が悪くなったことがある」という方は、その経験を接種前に必ず伝えてください。横になった姿勢で接種する、接種後に長めに休むといった対応につながります。当日は朝食を抜かない、水分をとっておく、といった準備も、体調が崩れにくい状態をつくることに役立ちます。

接種後に多様な症状が続くときの相談先

HPVワクチン接種後に症状が続くときの相談先と手続きの流れを示した図

HPVワクチンの接種後に、体の広い範囲の痛み、手足の動かしにくさ、しびれ、不随意運動、倦怠感、集中しづらさなど、さまざまな症状が報告されてきました。厚生労働省は、こうした症状を訴える方を診療するための協力医療機関を各都道府県に設置し、あわせて都道府県の衛生部局に相談窓口を置いています。まずはワクチンを接種した医療機関やかかりつけ医に相談し、必要に応じて協力医療機関へつないでもらう流れになります。

また、予防接種法に基づく定期接種で健康被害が生じ、その原因が予防接種によるものと認定された場合には、予防接種健康被害救済制度による給付の対象となります。申請の窓口はお住まいの市区町村です。制度があること自体を知っておくと、「もし何かあったら」という不安の置き場所が変わります。

症状が長引くときに大切なのは、原因が確定するまで放置しないことです。日常生活に支障が出ている、学校や仕事に行けない状態が続いている、良くなるどころか悪化していると感じるときは、受診のタイミングだとお考えください。

打つかどうか迷ったときの考え方

副反応の情報だけを見ていると、判断が片側に寄ってしまいます。ワクチンは「受けたときに起こりうること」と「受けなかったときに起こりうること」を並べて考える性質のものです。子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染が関係する病気で、ワクチンはその感染を防ぐことを目的にしています。効果の程度や対象となる型はワクチンの種類によって異なります。

迷っているときは、次の点を書き出して、接種する医療機関で確認してみてください。

  • これまでに注射で気分が悪くなったこと、強いアレルギーが出たことがあるか
  • 現在治療中の病気や飲んでいる薬があるか
  • 妊娠している、または妊娠の可能性があるか
  • 接種後に体調を崩したとき、休める日程を組めるか
  • 公費の対象になるか、回数と接種の間隔はどうなっているか

接種の回数や間隔、公費の対象年齢は、自治体と接種するワクチンの種類によって決まっています。練馬区にお住まいの方は、子宮頸がんワクチンは練馬区の公費対象?回数と間隔がわかるで当院がまとめていますので、あわせてご覧ください。

接種当日から数日の過ごし方

接種した日は、激しい運動は控えて、ふだんどおりの生活で様子を見てください。入浴は差し支えありませんが、接種部位を強くこすらないほうが刺激になりません。痛みが気になるときの冷却や市販の解熱鎮痛薬については、接種を受けた医療機関で確認しておくと当日に迷わずにすみます。

腕の痛みや微熱が出ても、多くは日常生活を送りながら落ち着いていきます。一方で、いったん軽くなった症状が再び強くなる、熱が下がらない、腕の腫れが広がっていく、といった変化があるときは、経過を待たずにご相談ください。判断の軸は「何日たったか」よりも「良くなる方向に向かっているか」です。

当院での接種と、接種後の体調の相談について

当院(ケルソンファミリークリニック・東京都練馬区大泉学園町)では、子宮頸がん(HPV)ワクチンについて、練馬区の公費接種の対象となる方の接種を承っており、院内でもご案内しています。対象や回数は区の制度に沿いますので、対象かどうかご不明なときはお問い合わせください。

診療時間は午前9:00〜12:30、午後14:30〜18:00で、水曜は休診です。土日祝も診療しているため、平日に学校や仕事を休みにくい方でも予定を組みやすくなっています。予約なしでも受診いただけますが、予約優先制です(電話・LINE・メール・ホームページから受付)。キッズスペースがありますので、ごきょうだいと一緒のご来院でも過ごしていただけます。

当院は心療内科・精神科・内科を掲げるファミリークリニックです。接種後の発熱や腕の痛みといった身体の症状はもちろん、「注射が怖くて決められない」「前回の接種で気分が悪くなった」といった不安についても、ご本人・ご家族からのご相談を受けています。ワクチンを受けるかどうかの判断は、ご家庭の状況も含めて一緒に考えていくことだと思っています。受診先を選ぶ際の一般的な考え方は、練馬のクリニック選び|土日祝も通える受診先の決め方がわかるにまとめています。

よくある質問

子宮頸がんワクチンでいちばん多い副反応は何ですか。
厚生労働省「HPVワクチンについて知ってください」リーフレット(詳細版)では、接種した部位の痛み、赤み、腫れがもっとも多く報告されており、多くは自然に軽くなっていくとされています。ほかに発熱、頭痛、だるさ、吐き気などが報告されています。症状の強さや続く長さには個人差があります。
接種のあと、どのくらい院内で休んだほうがよいですか。
厚生労働省のHPVワクチンのリーフレット(詳細版)では、注射への緊張などで一時的に血圧が下がり倒れることがあるため、接種後30分程度は体重を預けられる場所に座るなどして様子を見ることがすすめられています。過去に注射で気分が悪くなったことがある方は、その経験を接種前に医師へ伝えてください。
接種後に体の痛みやしびれが長く続くとき、どこに相談すればよいですか。
まずは接種した医療機関やかかりつけ医に相談してください。厚生労働省はHPVワクチン接種後に多様な症状を訴える方を診療する協力医療機関を各都道府県に設置し、都道府県の衛生部局にも相談窓口を置いています。必要に応じて協力医療機関へ紹介してもらう流れになります。
ワクチンで健康被害が起きた場合の救済制度はありますか。
予防接種法に基づく定期接種を受けて健康被害が生じ、その原因が予防接種によるものと認定された場合には、予防接種健康被害救済制度による給付の対象となります。申請の窓口はお住まいの市区町村です。制度の詳細や必要書類は、市区町村の担当課で確認できます。
接種した日は入浴や運動をしてもよいですか。
入浴は差し支えありませんが、接種した部位を強くこすらないようにしてください。激しい運動はその日は控え、ふだんどおりの生活で様子を見ることがすすめられています。発熱やだるさが出ることもあるため、予定が詰まっている日の前日は避けて接種日を決めておくと休みやすくなります。

執筆

田中 良恵

ケルソンファミリークリニック院長

2003年 島根大学医学部卒業。東京女子医科大学病院での研修を経て、精神科・プライマリーケア・訪問診療の領域で臨床経験を積む。アメリカ テキサス州での事業経営を経験したのち帰国。東京武蔵野病院精神科を経て、2026年6月 ケルソンファミリークリニックを開院。精神保健指定医、日本医師会認定産業医。