「夜になると咳が止まらない」「走ると息が苦しくなる」「ゼイゼイ・ヒューヒューという音がする」——こうした症状が続く場合、気管支喘息(喘息)かもしれません。喘息は気道の慢性的な炎症が原因で、適切な治療を続ければ症状をコントロールできる病気です。
「大人になってから急に喘息と言われた」という方も少なくありません。発作が怖くて外出を控えたり、夜中に目が覚めたりと、日常生活に大きな影響を与えることもあります。まずは正しく状態を把握することが、治療の第一歩です。
ケルソンファミリークリニックは、心療内科と内科を併設した家族向けクリニック。大泉学園駅より西武バスにて「大泉郵便局」下車、徒歩1分です。土日祝日も診療し、オンライン診療にも対応しています。軽症〜安定期の喘息管理について、吸入指導から生活習慣のサポートまで、丁寧にお手伝いします。
呼吸器疾患について

呼吸器とは、鼻・口・気管・気管支・肺など、空気を取り込んで酸素と二酸化炭素を交換する一連の臓器のことです。私たちが意識せずに毎日続けている「呼吸」を支えるこのシステムに何らかの問題が起きると、咳・痰・息苦しさ・喘鳴(ぜんめい)といった症状として現れます。
呼吸器疾患には、風邪やインフルエンザなどの急性感染症から、喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺炎といった慢性・重症疾患まで幅広い種類があります。このうち喘息は、感染症ではなく慢性的な気道の炎症が本態であり、「一時的に治る」のではなく「長く付き合いながらコントロールする」疾患という点が特徴的です。
日本国内の成人の約3〜6%程度(調査により幅があります)が喘息を持つとされており、決して珍しい病気ではありません。にもかかわらず、「軽い咳だから」「子どもの頃に治ったと思っていた」という理由で治療を受けていない方が一定数います。未治療・コントロール不良のまま放置すると、慢性炎症が続くことで気道の壁が徐々に狭くなり(気道リモデリング)、元に戻りにくくなることがあります。
喘息は完全に治せる病気ではありませんが、正しい治療で発作のない状態(コントロール良好)を維持することは十分可能です。「また咳が出始めた」「薬をどう使えばいいかわからない」——そんな悩みを抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
喘息とは?
喘息(気管支喘息)は、気道(気管支)に慢性的な炎症が起きている状態です。炎症が続くことで気道の粘膜が腫れ、気道が狭くなり、さまざまなきっかけ(アレルゲン・冷気・運動・ストレスなど)によって発作的に息苦しくなります。
気道の慢性炎症とは
健康な状態では、気道は適度な太さを保っており、空気が滑らかに出入りします。ところが喘息がある状態では、気道の内側の粘膜が炎症により慢性的に腫れており、刺激に対して過敏になっています(気道過敏性の亢進)。
この慢性炎症には、アレルギー反応を引き起こす免疫細胞(好酸球・マスト細胞・Tリンパ球など)が深く関わっています。これらの細胞が気道に集まり、ヒスタミンやロイコトリエン(炎症を引き起こす化学物質)といった炎症物質を放出することで、気道が腫れ・狭くなる状態が続きます。
発作のメカニズム
炎症が慢性的に存在する状態では、普段は問題のない刺激でも「発作」が起きやすくなります。発作時には次の3つが同時に起こります。
- 気管支の収縮(気管支けいれん):平滑筋が収縮して気道が急激に狭くなる
- 粘膜の腫れ(浮腫):炎症で気道の内壁が厚くなる
- 粘液の過剰分泌:ドロッとした痰が気道を塞ぐ
この3つが重なることで、ヒューヒュー・ゼイゼイという喘鳴や、強い息苦しさ・咳が起こります。
喘息の原因と発症しやすい背景
喘息はアレルギー体質(アトピー素因)を持つ方に多いとされています。ハウスダスト・ダニ・カビ・ペットの毛・花粉などのアレルゲンが長期間繰り返し吸い込まれることで、気道の炎症が慢性化していきます。一方、アレルギーとは関係なく発症する「非アトピー型(非アレルギー型)」もあり、こちらは大人になってから発症するケースに多く見られます。
成人発症の喘息では、職場・住環境での化学物質・粉じん暴露、肥満、女性ホルモンの変化、ストレスや疲労なども発症・悪化の要因となることが知られています。
喘息の特徴と症状について

喘息の症状は「ある日突然強くなる」という発作的な経過をたどることが多いのが特徴です。一方で、発作がない時期でも気道の炎症は続いているため、「今は大丈夫」と感じていても治療を続けることが大切です。
典型的な症状
呼吸に関する症状
- 喘鳴(ぜんめい):息を吐くときの「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という音
- 呼吸困難:息が吸えない・吐けない感覚
- 胸が締め付けられるような圧迫感・胸苦しさ
咳に関する症状
- 発作性の乾いた咳(特に夜間・早朝)
- 咳が長期間続く(咳喘息:喘鳴のない喘息の一型)
- 運動後・冷気・煙に触れた後に誘発される咳
時間帯・季節性の特徴
- 夜間〜早朝に悪化しやすい:自律神経の影響で気道が最も過敏になる時間帯
- 季節の変わり目に悪化しやすい:特に秋(ダニの死骸・花粉・気温差)、春(スギ・ヒノキ花粉)
- 梅雨時(カビ・湿度上昇)、冬(乾燥・冷気)にも悪化しやすい
成人喘息に多い特徴
- アレルギー検査で明確な原因が特定できないケースが多い
- アスピリンや解熱鎮痛薬によって発作が起きることがある(アスピリン喘息)
- ストレスや過労・睡眠不足が症状の悪化要因のひとつとなることがあります
- 喫煙経験がある方は症状が重くなりやすい
運動誘発性喘息
- 体育・スポーツ中〜直後に咳や息苦しさが出る
- 冷たく乾燥した空気を吸い込むことで気道が刺激される
- 適切な予防薬の使用で多くの場合コントロール可能
喘息の改善方法と治療について
喘息の治療は、「今の発作を鎮める薬(発作治療薬)」と「炎症を抑えて発作を起こしにくくする薬(長期管理薬)」を組み合わせるのが基本です。さらに、環境の整備・生活習慣の改善・心理的ストレスへのケアを組み合わせることで以前より安定した状態を維持できます。
当院(ケルソンファミリークリニック)では、軽症〜安定期の喘息管理に対応しています。重症喘息・急性大発作・入院が必要と判断される場合には、専門病院と連携してご紹介します。「どの程度の状態か確認したい」「薬の使い方がよくわからない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
1. 薬物療法(吸入ステロイド・気管支拡張薬)
喘息治療の中心は吸入療法です。吸入薬は直接気道に届くため、内服薬より少ない量で効果が得られ、全身への影響も少ないのが特徴です。
長期管理薬(毎日使用・炎症を抑える)
- 吸入ステロイド薬(ICS):気道の慢性炎症を抑える最も重要な薬。「ステロイド」という言葉に不安を持つ方もいますが、吸入ステロイドは全身への吸収が少なく、適切に使えば安全性が高いとされています。現在の喘息治療の根幹です。なお、吸入後はうがいをすることで、口腔内への局所的な影響(口内乾燥・声のかすれ・口腔カンジダなど)を軽減できます
- 長時間作用型β2刺激薬(LABA):気管支を拡張し、12〜24時間効果が続く。吸入ステロイドと合わせた配合剤として処方されることが多い
- ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA):内服薬。気道の炎症物質(ロイコトリエン)の働きを抑え、鼻炎合併例にも有効
- 長時間作用型抗コリン薬(LAMA):気管支を広げる補助的な吸入薬。中等症〜重症の喘息で、ICS/LABAへの上乗せとして使用されます
発作治療薬(症状が出たとき)
- 短時間作用型β2刺激薬(SABA):吸入後15〜30分で気管支を広げ、発作を速やかに緩和する。「緊急時の薬」として常に携帯しておく
ピークフローメーター(息を吐く力を測る簡易装置)による自己モニタリングや、定期的な肺機能検査でコントロール状態を確認しながら薬の量を調整していきます。
2. 心理社会的サポート
喘息とストレス・心理的な要因は密接に関係しています。ストレスや不安・緊張が気道の過敏性に影響を与える可能性が指摘されており、心理的なサポートが症状管理に役立つ場合があります。また、「また発作が起きたらどうしよう」という不安が、外出や運動を避けるなど生活を縮小させてしまうこともあります。
ケルソンファミリークリニックは心療内科・精神科を併設しており、こうした喘息に伴う不安・ストレスの側面についても、内科と連携しながらサポートできる環境があります。「体の症状はもちろん、気持ちの面でも相談したい」という方にも対応しています。
また、呼吸法(腹式呼吸・ゆっくり呼吸)の練習が、軽度の発作時や不安時の症状軽減に役立つことがあります。
3. 学校や職場での工夫
喘息を抱えながら学校生活・仕事を続けるためには、周囲への正確な情報共有が大切です。
- 学校の場合:学校医・担任・養護教諭に喘息の状態・発作時の対応・緊急薬の使い方を共有。体育の授業や遠足など運動量が多い活動の前には予防吸入を活用できる場合も
- 職場の場合:化学物質・粉じん・香料・強い臭気が発生する作業は主治医と相談のうえ調整。空調や換気の状態が悪い環境はリスクになりうるため、産業医への相談も有効
- デスクワーク・テレワーク:冷暖房の冷気が直接当たる配置を避け、加湿器の活用で室内湿度を保つ
- 緊急時の準備:発作時の連絡先・対応手順を職場・学校に書面で渡しておく
当院は産業医機能も有しており、職場環境の調整が必要な場合のご相談にも応じています。
4. 家庭での工夫(ダニ・ホコリ・ペット対策)
日本ではハウスダスト・ダニが喘息の最大のアレルゲンです。ダニは高温多湿を好むため、梅雨から夏にかけて寝具・カーペット・ぬいぐるみなどで大量に繁殖し、秋に死骸や糞が舞い上がって発作を誘発しやすくなります。
ダニ・ホコリ対策
- 寝具(布団・枕・シーツ)を週1回以上洗濯し、防ダニカバーを使用
- 布団は天日干し後に掃除機をかけ、ダニの死骸を除去
- カーペット・じゅうたんはできるだけ避け、フローリングに
- 掃除は週2回以上。吸引力の高い掃除機をゆっくりかける
- 湿度は50%前後を維持(除湿器・エアコン除湿モードの活用)
ペット対策
- ペットアレルギーが確認されている場合、ペットを寝室に入れない・こまめにシャンプーするなどの対策が有効
- すぐにペットを手放す必要はありませんが、悪化が続く場合は医師に相談を
その他の室内環境
- 換気扇・空気清浄機(HEPAフィルター付き)の活用
- タバコ煙・線香・アロマの強い香りは気道を刺激するため避ける
- 新築・リフォーム直後は揮発性有機化合物(VOC)が刺激になることも
5. 生活全般でのセルフケア(禁煙・運動・睡眠)
禁煙 喫煙は気道の炎症を直接悪化させ、薬の効果を下げる最大のリスク因子です。受動喫煙も同様に有害です。喫煙している方は、喘息管理において禁煙が最優先事項のひとつになります。禁煙外来のご相談も承ります。
運動 「運動したら発作が出た」という経験から、体を動かすことを避けてしまう方がいます。しかし、適度な運動は肺機能・体力・ストレス耐性を高め、喘息の長期管理にとってプラスに働きます。運動前に短時間作用型β2刺激薬を吸入することで、運動誘発性の発作を予防できるケースも多くあります。まずは主治医に相談しながら、自分に合った運動量を見つけてください。水泳は乾燥した冷気を吸いにくいため、喘息患者に比較的向いている運動として知られています。
睡眠 喘息は夜間〜早朝に悪化しやすいため、質の高い睡眠は特に重要です。睡眠不足は免疫の乱れ・ストレスホルモンの増加を招き、気道過敏性を高めます。就寝前の寝具の掃除・部屋の換気・適切な室温と湿度の管理を心がけましょう。寝つきが悪い・途中で目が覚める・いびきがひどいという場合は、睡眠時無呼吸症候群など他の原因も考えられますので、ご相談ください。
食事・体重管理 肥満は気道の炎症を悪化させ、喘息のコントロールを難しくすることが知られています。バランスのよい食事と適切な体重の維持は、喘息管理にも直結します。
喘息は、正しく治療を続ければ「発作のない毎日」を目指せる病気です。「咳が長引いている」「以前喘息と言われたことがある」「薬の使い方を見直したい」——そんな方は、まずお気軽にケルソンファミリークリニックまでご相談ください。大泉学園駅より西武バスにて「大泉郵便局」下車、徒歩1分。土日祝日も診療、オンライン診療にも対応しています。