BIPOLAR DISORDER

双極性障害(躁うつ病)

2026.05.07

「急に気分が高揚して眠らなくても元気に動ける時期がある」「その後、今度はうつ状態で何もできなくなる」「家族や周囲から『別人みたい』と言われる」——そんな気分の波の大きさに悩んでいるなら、それは双極性障害(躁うつ病)のサインかもしれません。

双極性障害は、うつ病とは異なる病気で、治療方針も異なります。うつ病だと思って抗うつ薬だけを服用し続けても改善しにくいため、適切な診断が非常に重要です。

ケルソンファミリークリニックは、心療内科と内科を併設した家族向けクリニック。大泉学園駅より西武バスにて「大泉郵便局」下車、徒歩1分です。土日祝日も診療し、オンライン診療にも対応しています。「病院に行くのは少し怖い」——その最初の一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか。

気分障害について

気分障害とは、気分の浮き沈みが一定の範囲を超えて長く続き、日常生活に支障をきたす病気の総称です。代表的なものに、うつ病と双極性障害(躁うつ病)があります。

気分障害は、本人の意志や性格の問題ではなく、脳の働きに関わる神経伝達物質のバランスの問題です。同じように気分が落ち込む状態でも、うつ病と双極性障害では治療薬の選び方がまったく異なるため、正確な診断が回復の鍵を握ります。

とくに双極性障害のうつ状態は、一見するとうつ病と見分けがつきにくく、診断までに数年を要することも少なくありません。過去の「ちょっとハイだった時期」を丁寧に振り返ることが、正しい診断につながります。

抗うつ薬だけで治療を続けていると、軽躁・躁状態を誘発してしまう場合もあります。そのため、ご本人だけでなく、ご家族からの情報や生活の記録も、治療方針を決めるうえで大切な手がかりになります。長期的に付き合いながら「波を小さくする」ことが治療の目標になる病気です。

双極性障害とは?

双極性障害(躁うつ病)は、気分が高揚する「躁状態」と、気分が沈む「うつ状態」を繰り返す病気です。日本での有病率は0.4〜0.7%程度と報告され、20〜30代での発症が多い傾向にあります。

双極性障害には大きく2つのタイプがあります。

  • 双極Ⅰ型:激しい躁状態とうつ状態を繰り返す。躁状態では1週間以上、気分の高揚・活動性の増加・睡眠時間の減少などが見られます。
  • 双極Ⅱ型:軽い躁状態(軽躁状態)とうつ状態を繰り返す。軽躁状態は4日間以上続き、本人は「調子が良い時期」と感じ、病気と気づきにくいのが特徴です。

Ⅱ型は、特にうつ病と間違われやすく、診断が遅れがちです。家族や周囲から「あの時期は別人のようだった」と指摘されることが、診断の手がかりになることもあります。

躁状態の間は本人の判断力が落ち、過剰な買い物・人間関係のトラブル・仕事上の失敗などにつながることもあります。そのため、早めの治療開始と再発予防のための継続治療が特に重要な病気です。

双極性障害は、発症の背景に遺伝的な要因が関与することが知られています。ご家族に気分障害の方がいる場合は、ご本人も注意が必要ですが、それは「必ず発症する」という意味ではなく、早めに気づいて対応できるという意味です。

ケルソンファミリークリニックでは、ご本人のお話に加え、ご家族からの情報もふまえながら丁寧に診立てていきます。

双極性障害の特徴と症状について

双極性障害の症状は、躁状態・うつ状態・間欠期の3つの時期によって大きく変化します。

具体的な症状例

躁状態・軽躁状態の症状

  • 気分が異常に高揚する
  • 眠らなくても元気に活動できる
  • しゃべり続ける・考えが次々に浮かぶ
  • 自信過剰になり、大きな計画を立てる
  • 衝動的な買い物・投資・旅行
  • イライラしやすい・攻撃的になる
  • 人間関係でのトラブル

うつ状態の症状

  • 気分が一日中沈む
  • 何をしても楽しくない
  • 眠れない、または寝すぎる
  • 食欲低下・過食
  • 疲れやすい・動けない
  • 集中できない・判断がつかない
  • 「消えてしまいたい」と感じる

間欠期(症状が落ち着いている時期)

  • 比較的安定した状態で過ごせる
  • 完全に症状が消えている場合もある
  • 治療を自己中断すると再発リスクが高まる

本人は躁・軽躁状態を「調子が良い」と感じやすく、病気だと気づきにくいのが診断上の難しさです。過去の振り返りや周囲からの情報が診断に役立ちます。

双極性障害の改善方法と治療について

双極性障害の治療は、気分安定薬を中心とした薬物療法が治療の柱となります。うつ病とは治療薬の選択が異なるため、抗うつ薬のみの治療では十分な効果が得られないのが特徴です。

1. 薬物療法

双極性障害の治療は、気分安定薬非定型抗精神病薬が中心です。

  • リチウム(リーマス):古くから世界中で使われる代表的な気分安定薬。躁・うつ両方に効果があり、再発予防にも有効です。
  • バルプロ酸(デパケン):もともと抗てんかん薬として開発され、気分安定効果でも承認されています。
  • ラモトリギン(ラミクタール):うつ状態の予防に効果的とされます。
  • 非定型抗精神病薬(オランザピン、アリピプラゾール、クエチアピン、リスペリドンなど):躁状態・混合状態の治療や再発予防に用いられます。

中等度〜重度の躁状態には、リチウム+非定型抗精神病薬の併用が推奨されています。

自己判断で服薬を中止すると再発しやすいのが双極性障害の特徴です。症状が落ち着いていても、再発予防のために継続することが大切です。

2. 心理社会的サポート

  • 心理教育:病気の仕組み・再発のサイン・治療の進め方を学ぶ
  • 認知行動療法(CBT):気分の波と行動・思考の関係を見直す
  • 対人関係・社会リズム療法:生活リズムの安定が再発予防に有効
  • 家族療法:家族に病気への理解を深めてもらう

ケルソンファミリークリニックでは、診察のなかで丁寧にお話を伺い、必要に応じて心理療法の方針をご案内します。

3. 職場や学校での工夫

  • 躁状態の兆しが出たら早めに医師・家族に相談する
  • 睡眠不足・過度な残業を避ける
  • 無理な判断(転職・契約・大きな買い物など)は医師と相談
  • 必要に応じて休職・休学を検討する

診断書は、職場や学校に状況を伝える大切な味方になります。

4. 家庭での工夫

  • 躁の兆しを早めに察知する(睡眠時間の減少・多弁・計画の拡大など)
  • 本人を責めず、淡々と受診や休養を促す
  • 大きな決断は保留にしてもらう
  • ご家族自身も相談できる相手・窓口を持つ

ご家族の支えは、再発予防に大きな力となります。

5. 生活全般でのセルフケア

  • 睡眠リズム:毎日同じ時刻に寝起きすることが最重要。睡眠時間の減少は躁転のサイン。
  • 気分の記録:気分や睡眠を毎日簡単にメモすると、波の予兆に気づけます
  • 運動:規則的な軽い運動は気分の安定に有効
  • カフェイン・アルコールを控える:気分の波を大きくする要因になります
  • 再発のサインを知っておく:「少し眠らなくても平気」「急に予定を立てたくなる」「買い物が増える」などが代表例

双極性障害は、継続的な治療と生活の工夫で安定した状態を長く保てる病気です。一人で抱え込まず、まずはお気軽にケルソンファミリークリニックまでご相談ください。大泉学園駅より西武バスにて「大泉郵便局」下車、徒歩1分。土日祝日も診療、オンライン診療にも対応しています。

執筆

田中 良恵

ケルソンファミリークリニック院長

2003年 島根大学医学部卒業。東京女子医科大学病院での研修を経て、精神科・プライマリーケア・訪問診療の領域で臨床経験を積む。アメリカ テキサス州での事業経営を経験したのち帰国。東京武蔵野病院精神科を経て、2026年6月 ケルソンファミリークリニックを開院。精神保健指定医、日本医師会認定産業医。